まこっ鑑賞録

読みたい!見たい!と思ったものを鑑賞し、そのまんま感想述べてみるブログ

読書百冊(3)『旧約聖書 天地創造 創世の書』フェデリコ・バルバロ訳注

この度、なんとなく旧約聖書を手に取ってみた。

私は宗教に特別な知識があるわけでもなく、信心しているわけでもない。しかし未知の領域があるのは些か満足に欠けるところがあり、こんなに有名な本に触れてこないのはよろしくないと思ったのである。

 

この神話において前もって知っていたことは

・神が「光あれ」と言ってから世界が誕生した

・最初の人間のアダムとイブがエデンの園でなんたらかんたら

・ノアが方舟を作って生き残った

バベルの塔が崩壊!言語がばらばらに

・ソドムとゴモラがどこかのタイミングで滅んだ

ぐらいだった。ここらの題材は多くの作品でモチーフにされていたりするので期待していた。

 

私の持っていたエピソードは意外と序盤で消費されることになった。神が世界を作り、人を作り、人はたまに調子に乗っていたので最初は罰せられたり、と神話らしい展開となって面白かった。読む前は上記のエピソードの順序が全然わからなかったのですっきりした。

この頃に登場する人はみな長寿である。神との繋がりがまだ濃いのだろう。神は試行錯誤していたようだ。人1人ずつの意思というより、神の視点で世界を俯瞰する体験を得ることが出来る。

ノアが息子に裸を見られてキレるシーンなども面白い。お前そんなやつだったのかよ。

 

中盤になるとアブラム(後にアブラハム)が登場する。ここから話のペースが数年刻みに近づき緩やかになる。オリエント世界の民族の由来を事細かに記しているのであろう。読んだ限りアブラハムはかなり善意に満ち溢れた好々爺という印象だ。主である神が傍に来て呼びかけ、それを素直に聞き入れる姿は感動ものである。苦難にも耐え成長するアブラハム。好きになる。

 

イサクとかヤコブが出てきて、ちょっと人間味があるキャラクターが増えてくる。神には従うが、自分の抱える問題については狡猾に解決していく。おいおいと思ったりもするがエピソードが面白いので飽きない。結婚や子供関連でよく揉めている。一夫多妻だから余計に。

 

さて、この本の終盤のヨゼフである。ヤコブの息子の中でも特に変なやつで、夢のお告げに詳しく、自分が出世すると言って兄たちから嫌われ、エジプトに売られてしまう。ほんと可哀想。しかしエジプトではうまーいことやって、得意の夢のお告げもフル活用し、ファラオと同等レベルまで上り詰める。

オリエントの飢饉を予想したヨゼフは対策を講じ、穀物の貯蓄に成功する。兄たちのいる周辺諸国は飢饉で困窮したため、エジプトまで行き頭を下げ貰いに行く。兄たちはそれがヨゼフだとわからなかったが、弟を売ったことを物凄く反省してる模様で、ヨゼフは陰で泣いてしまうのだった。とまあ感動シーンがあったりする。ここまで来ると神はあまり登場しないが、とても気に入ったエピソードである。

 

難しい印象があった創世記だが、普通に読み物として面白かった。怖がらずぜひ読んでみて欲しい。章ごとに解説もしっかり付いてるので理解しやすい。

 

さあ、次は新訳聖書かな?と思ったが、一方、もうキリスト来ちゃうの?となる。そう、ヨゼフが死んでからブランクがあるのだ。実は創世記、旧約聖書の中でも序盤の1冊らしい。全部読むの大変だわ。まあいいや。次は新訳聖書読も。